神舞会、 中国青海省同仁

 中国青海省の同仁はチベット、アムド地方の一大拠点であり、チベット仏教の芸術の里ともいわれている。そして、チベット暦の6月には秋の収穫を前に五穀豊穣を祈願する神舞会(ルロ祭、六月会とも呼ばれる)が土地の守護神がシャーマンに降りてきて行われるのである。
 この時期になると同仁付近の村々で日程は違えど神舞会が行われ、人々は晴れ着に着替え神降ろしの儀式に足を運ぶ。そしてなんといっても有名なのが一部の村では鉄串を頬や背中に刺して踊るちょっとグロイ儀式であるのだ。
 しかしながら、現場にいると淡々と串刺し作業が行われ、刺されている村人も平然としていて、驚いたことに小さな子供も平然と刺されている。泣き騒ぐ子供は一人もいないのだ。伝統的に昔からこのような慣習が受け継がれたであろうから、大人はもちろん子供も当たり前のように年に一度の行事程度という認識なのかもしれない。そしてその根底には儀式を滞りなく神の怒りにふれないよう行う、神への畏敬の念が備わっていると感じたのである。